フロントキャリパーのオーバーホール(ER34用流用) 部品代: キャリパー(中古)約\17,000(送料込) ブレーキパッド約10,000(税込) シールキット約3,500(税込) ナットキット約8,000(税込) 外注費:\0 作業時間:20時間(塗装の乾燥時間除く) お勧め度: シールキット及びパッドの交換並びにナットキットの打替えだけなら2時間くらいで終わりそうですが、やはり清掃に時間を費やすことになります。また、圧縮空気の設備やプレスが必要なこと、保安部品であることなどから、プロに任せた方が無難かと思います。 2019年1月1日現在、GLOBALビッグローターキットVer.2によりECR33の純正キャリパーを流用し、純正ローター径280㎜から324㎜にアップしていますが、約13年、約10万キロ使用したキャリパーブラケット(キットに付属)の強度と耐久性に対して不安が大きくなったため、ブラケットを使用しない仕様を模索したところ、取付けナットの打替えさえ解決すればER34用は「ほぼ」ボルトオンということで、ER34の純正キャリパー(ターボ用)を中古で購入し、整備して使用することにしました。 何度かキャリパーのオーバーホールをしてますが、毎回なかなかの汚れっぷりです。 今回も例にもれず・・・です(^_^;) まずは触っただけで手、工具及び整備場所が汚れるのを軽減するため、パッド関係を取り外してから軽く洗浄します。 赤丸をラジオペンチなどで針金状のクリップを外します。 青丸を最初に抜くやり方もあるようですが、どちらでも良いような気がしますので、お好きなように(^_^;) 赤丸を先に外すとこんな感じになります。 このようなパーツです。 このパーツは再使用しませんが、一応洗浄します。 ちなみにピットワークのパッドを購入すると、漏れなく付いてきます(^_-) 黄色の矢印部分を押しながら赤矢印のピンを引っこ抜きます。 すると青矢印のピンのテンションがなくなりますので、こちらのピンも抜きます。 これでパッド関係が取り外せます。 こんな感じになります。 パッドも再使用しませんが、作業に使用する予定があるので洗浄します。 その他は基本的に再使用しますが、なかなかお疲れの御様子です(-_-) シムなどのプレート関係も再使用します。 大きくて深いトレーに入れて大胆にパーツクリーナーで洗浄します。 パーツクリーナはワコーズのBC-8を使用します。 「中乾」と表記されていますが、BC-8はBC-9よりは揮発性が低く、吹き付けたパーツクリーナの液を使用してブラシなどでゴシゴシするのに適しています。 用意したブラシ類は画像程度ですが、結果的に柔らかめのブラシでは歯が立ちません。 真鍮ブラシでゴシゴシするのが良いかもしれません。 個人的に過去最高の汚れっぷりでした(>_<) もう一回か二回は繰り返したいですが、これでやめました(-_-;) 軽く拭き上げると画像のような感じ。 そして念入りにゴシゴシ、拭き拭きすれば「ある程度」まともな状態になります(^_^;) ボディ本体も凛々しくなりました(*^_^*) (画像奥側は未洗浄) 洗浄したため少しだけ気軽に触れるようになったので、赤丸のパーツを抜き取ります。 このネジ径は14ミリで、Z32は12ミリ。 このナットを打ち替えるナットキットがナイトペイジャーにて販売されているで、今回はそれを使用します。 裏側は画像のような感じ。 こちら側から油圧プレスで押します。 その前に打ち込まれているナットなどを計測して治具(?)を用意しなければなりません。 素人の私がノギスで計測したので信頼性はイマイチですが、ある程度の目安やイメージはできると思いますので記載しておきます。 キャリパーにナットが打ち込まれている部位の厚み:15.65ミリ。 キャリパーのナットが打ち込まれている部位の内径:19.95ミリ。 打ち込まれているナットの大きい部位の外径:29.40ミリ。 押す側の外径は20ミリ弱の物を物色。 不要な工具の中では、左から13ミリのソケット(12角)が18.90ミリ、12ミリのソケット(6角)が18.30ミリ、12ミリのソケット(TONE製)が18.00です。 外径は19.95ミリに近い方が良いので13ミリのソケットが良いのですが、治具は短い方が良いのでTONE製か・・・と迷いますね(^_^;) 受け側は、ナットの大きい部位の外径が29.40ミリ、高さが19.10ミリなので、とりあえず30ミリのソケットを確認したいところですが、30ミリのソケットなんて持ってない(・・;) とりあえずインパクト用のソケットを借用したら、深さも19.00ミリでまあまあ良さげ(^_^;) 画像のような感じの物を準備しましたが、結果的には13ミリのソケット(12角)で賄えました。 受け側も30ミリのソケットで大丈夫でした(^^)v プレス作業は画像のような感じで、意外と簡単に抜けました(^^)v 「ストン」と簡単に抜けたナットと受け側ソケット。 プレスで抜いたナット群。 純正(右)はスプラインが根っこ側でピッチが大きく、ナイトペイジャー製はスプラインが先っぽでピッチが小さいようです。 ナットを抜いた後のキャリパーは画像のような感じ。 ナイトペイジャー製は仕上げが今ひとつな感じですが能力には関係ないから良いのかな。 コストをかけて精度を上げるところじゃないから良いのですが、ある意味純正って素晴らしい品質ですね(*^_^*) ピストンを抜く準備をします。 矢印のリングを取り外し、ブーツを取り外します。 工具はシール用の物が市販されていますが、ブーツなどは再使用しないので何でも良いかと(^_^;) どれも苦労することなく取り外せて、ブーツにも損傷などはありませんでした。 ブーツを取り外した後のピストン。 青矢印から圧縮空気を送りピストンをできる限り外に出します。 板やパッドなど様々な物を駆使して色々試行錯誤します。 そういえばこうだった・・・と思いだした頃には作業の終わりが見えています(>_<) キャリパーの左右ともエアーを送った反対側である赤矢印のピストンが出にくかったです。 たまたまなのか、それとも当たり前なのか・・・素人の私には解りません。 私の知る限り(かなり狭い範囲)では、普通に動いている車両のものなら面白いようにピストンが出ています。 これが不動車で長期間寝かされていたりすると固着などしていて苦労しますし、空気圧を上げたりするので危険も伴います。 速い遅いはあるものの、通常は低い圧力でピストンは出てきます。 今回、ちょっと怪しい雰囲気でしたが、まぁ許容範囲でした(^_^;) ピストンを抜くときは、画像のような工具があると便利です。 これはバイク用ですが、少し固いくらいでも簡単に抜けます。 もちろん固着している場合は、このメーカーのこの工具では無理です。 こんな感じで、グリスやブレーキフルードまみれな中、手を汚さずピストンを抜けます。 まぁ手を洗うとかウエスで手を拭くとかの回数が減る程度ですが、撮影しながら作業する人には重要です(笑) シールを取り外します。 私はピックツールで作業しました。 シールを取り外した後は画像のような感じ。 抜いたピストンとシール群。 ピストンは著しい錆などは無かったので、手入れをして再使用することにしました。 もちろんシールは全数交換です。 ブリーダーを取り外すためカバーを抜き取ります。 ブリーダーを緩めて取り外します。 外に出ている部分はお疲れのようです(・・;) キャリパー側は画像のような感じ。 画像はありませんが、ここでキャリパーを水でジャバジャバと洗浄し、エアーで水気を飛ばします。 これで安心(?)して素手で触れるようになります(笑) 水で洗浄した後は、画像のような傷、腐食、汚れを落とします。 傷や腐食は、800番の耐水ペーパー(水無し)で研ぎ、次に1200番の耐水ペーパー(水無し)で研ぎ、仕上げは1200番の耐水ペーパーにラスペネを噴いて研ぎました。ラスペネなどを噴いて研ぐとオイルストーンで研いだような感じになって良いですよ(^_-) ちなみに、いきなり2000番の耐水ペーパー(水無し)で研いだら・・・歯が立ちませんでした(>_<) 片手でアルミの塊の向きを変えながら、狭いところでシコシコ研ぐのは辛い(T_T) 「もうこれくらいで許してください」というくらい疲れました(-_-) 苦労の甲斐あって見た目は良好(^_^;) シリンダー内にはシリコーングリースを薄く塗布します。 ピストンの傷、腐食、汚れを落とします。 こちらも800番の耐水ペーパー(水無し)で研ぎ、次に1200番の耐水ペーパー(水無し)で研ぎ、仕上げは1200番の耐水ペーパーにラスペネを噴いて研ぎました。 こちらも見た目は良好です(*^_^*) ピストンにもシリコーングリースを薄く塗布します。 いよいよ作業も折り返し(^^)v ピストンをキャリパーに組んでいきます。 シールにシリコーングリースを薄く塗布してキャリパーに組み込みます。 ブーツの裏側とピストンに接触するところにシリコーングリースを薄く塗布します。 ピストンにブーツを取り付けます。 ピストンをキャリパーを挿入します。 シリンダーに当たらないよう真っ直ぐに・・・ですが少なからず当たります(・・;) 傷つくかないよう優しく気を遣って丁寧に作業すれば良いかと(^_^;) 私の場合、ピストンは底突きするまで押し込みました。 リングを取り付け、ブーツを固定します。 工具不要で取付けできますが、利き手などの関係から取り付け難いところがあります。 頑張って確実に取り付けてください。 ナイトペイジャー製のナットを挿入します。 挿入する向きを間違えないようにしましょう。 真鍮ドリフトパンチなどを当て、ハンマーで真っ直ぐ入るように軽く叩いて位置決めしてからプレスで挿入します。 治具は純正ナットを使用しました。 ガタつきや隙間もなく、バッチリ挿入できました。 悪い癖と言いますか・・・赤で塗っちゃうんです(^_^;) 組み始める前に塗装すれば良いのですが、素人なので手際良く組み立てられず、塗装面が結果的にグリスまみれのイマイチ状態になりますので、チマチマとマスキングをして塗装しました。 塗料はVHTの耐熱赤で、これはHoltsの耐熱より数倍良いかと(*^_^*) お値段もなかなかですが、個人的にはVHTがお勧めです(^_-) 文字の周りをマスキングして、文字部分を耐水ペーパーで地道に研ぎます(^_^;) 今回は180番で荒研ぎして、仕上げに800番を使用しました。 その後、VHTの耐熱クリアーで塗装します。(画像は1回クリアー塗装済) 2回クリアーを塗装すると、鋳物のザラザラ感がなくなりツルツル感が出ます(^_-) 本来は赤を数回塗装すればよいのですが、文字部分を研ぐのが面倒なのと、厚塗りすると文字部分を研ぐとき塗装が欠けたりして再塗装ということがあるからです。 ピンも耐熱銀で塗装しました。 こちらの耐熱は、ワコーズを使用しました。 艶消しで、塗装後の質感が好みです(*^_^*) まあ・・・見えるのは溝が切ってある頭の部分だけなんですけどね(^_^;) 仕上げの組み立てをしていきます♪ パッドはピットワークです。 分解時にも記載していますが、ピットワークのパッドにはクリップが付属しています(^_-) パッドグリースはワコーズを使用します。 グリースのパッケージには「パット」となっていますが、パッドなの?パットなの?どうでも良いですね(^_^;) シムのパッド側にグリースを薄く均等に塗布します。 パッドにペタリと貼り付けます。 もう一種類のシムもパッド側にグリースを薄く均等に塗布します。 こちらもペタリと貼り付けます。 キャリパーのピストンが当たる部分にもグリースを塗布します。 画像右隅にチョコっと見えているパッドリテーナを装着します。 キャリパーを車体装着時、パッドリテーナを組んだ側が上側(ブリーダ側)になるようパッドを組み付け、ピンを通してクリップで固定します。 最後にクロススプリングを装着して完了です。 クロススプリングは、膨らんだ部分が車体装着時に下側(ブリーダーの反対側)になるよう組み付けます。 ちなみに整備要領書では、クロススプリングを装着してからクリップでピンを固定するようです。